※このインタビューは、フリーペーパー「pontab」34号(2019年4月発行)に掲載された内容をもとに、紙幅の制約上実際の紙面では割愛した部分も収録した完全版として再構成したものです。

あのM-1ファイナリスト、芸人引退後の次なる挑戦。
ご当地アイドルの仕掛け人に?(4/4ページ)

▲6月公開の映画『手のひらに込めて』より。おおうえさんは寡黙な和菓子職人の父親役を演じる
再生……アイドル育成の道、そして役者業へ?
解散後も、おおうえさんは吉本に所属しピン芸人として活動をしていた(ひらがなの「おおうえくにひろ」名義になったのはこの時から)が、2016年に現在の事務所へ移籍する。そのキッカケとは?
おおうえ NHKの「あまちゃん」を見ていたんですが、ご当地アイドルの話だったので俺の地元(奈良)にもご当地アイドルがいるのかなと思って調べていたら、「Le Siana(ルシャナ)」を見つけて、公式のツイートをRTするなど個人的に応援してました。
そしたらある日、「東京でライブがあるので来ませんか?」と事務所の社長からツイッターのDMが来たので、そこでメンバーと初めて会って、社長に「イベントをやるなら司会をさせてください」と言いまして。司会をしているうちに、芸人同士のノリやノウハウを教えたりして、彼女達の面白い部分を引き出したりするのが新鮮に感じてきたんです。
ピン芸人として限界を感じていたおおうえさんは移籍を決意。
現在は芸人時代に培ったお笑いのスキルを活かしてアイドルの育成にも携わりながら、ラジオパーソナリティなどタレントとしても活動する。これまでも映画や舞台への出演経験はあったが、今回の『手のひらに込めて』でおおうえさんが演じるのは、ストーリーに重要な役割を持つ主人公三姉妹の父親役である。
おおうえ この映画は実話をもとにした作品ですが、僕の役は寡黙な職人肌で、脳梗塞で倒れても、病と闘いながら和菓子作りを続ける父親。最初は「無理やろ!」と思いました。でもアイドルの公演を通じてお芝居も面白そうだと思っていたので、機会があるなら挑んでみようと、この役を引き受けました。
――昔からツイッターでも優しいパパのイメージがあったおおうえさんですが、今回のような厳格な父親役は難しかったのではないでしょうか。
おおうえ ええ。しかも今回の映画は娘役でうちの事務所の子達が出てるから、現場で普通に喋っちゃいますよね(笑)。仲が良いので喋りたいけど、そういうのとは真逆の役なので、現場では距離を置いたりして仲の良さを隠すのが大変でした。
――物語のモデルとなったご家庭の娘さんはおおうえさんの実際の娘さんとも年齢が近いそうですが、その意味でも作品への思い入れは深いのでは?
おおうえ 映画の中では娘とケンカになって「お父さんなんか嫌い!」って言われるんですけど、無口な父親だから「いやぁ……」いやぁ、やあらへんやろと(笑)。
けど、お父さんも子どもの事が大事やから黙々と頑張っているんやで、と演じながら思ったりして、その気持ちに共感できる部分が多かったです。撮影にあたっては彦根にある、モデルになったご家庭の和菓子屋さんを実際にお借りしたのですが、地元の皆さんのご協力が無ければこの映画はできなかったですね。
――和菓子を作るシーンもありますね。
おおうえ テレビで妻夫木(聡)さんがドラマの役作りのために実際に工事現場で働くシーンを見て「これこれ!」と思ってたんですが、実際には餅をこねる代わりにゴルフボールを手の上で転がす練習だけしかできなくて、いざ現場に入ったら、全然出来ない。こんなに餅くっつくの?(笑)となりましたね。
――最後に改めて『手のひらに込めて』の見どころについて教えて下さい。
おおうえ 「和菓子屋の家族の物語」と聞くと、地味な印象を受ける方もいるかもしれないですが、お父さんは娘を思い、娘はお父さんを思う。出てくる人みんなが誰かの事を思っている、そんな暖かい映画になっています。親の世代から娘の世代の子ども達まで、色んな世代の人に見てほしいですね。そして、これを機に「おおうえくにひろは今でも元気でやってるぞ」ということも知って頂ければ有り難いです。
――最後に、おおうえさんの今後の活動目標は?
おおうえ 今後はお芝居もやっていきたいですし、うちのアイドル達とテレビ番組をやりたいですね。
――ご自身のテレビ出演は?
おおうえ モチロンやりたいです! 漫才も機会があればやりたいですけど、もしやるなら何ヶ月か準備期間がほしいですね。
――最後に読者の皆様へメッセージを。
おおうえ ハリガネロックをご存知だった皆様。今は関西で活動してますので、これからも応援をよろしくお願いします!
映画『手のひらに込めて』は、6月15日より大阪・京都・滋賀・奈良・愛知県のイオンシネマ各館で順次公開。詳しい情報はこちらを。
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